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藤本の辛口コラム

ヨーロッパ系スタジオモニター
 
 
石川県のお客様よりATC SCM100Pのチューニングを仰せつかった。

ATC SCM100P画像

お客様がチューニングを行う決意をされた切っ掛けだが、弊社でチューニングしたDYNAUDIO C4を自宅で聴かれ、ATCとは音像の出方が全く異なったからだ。
セーム革エッジの張替とコンデンサーの方向管理 そしてサウンドアクセラレーターSA1を取り付けたが、それまで左右スピーカーの間にしか出ていなかった音場が、広く深く変化し音像の輪郭もクッキリして実在感がある。
それに対してSCM100Pは音像が不明確で、オーバーに言えば何処で何をやっているのか解らない。
 
しかし、仕事をしながらBGM的に聴けるC4も良いが、モニター系の音も欲しいという事でSCM100Pをチューニングされる事になった。
持ち帰りネットワークをチェックしたところ、コンデンサーどころかコイルまで方向管理されていないことが解り唖然とした!
これで何をどの様にモニターするというのだろうか???
 
ATC SCM100Pネットワークの画像1
 
量産する為のプリント基板は仕方ないとしても、部品メーカーが管理していないコンデンサーなら兎も角、目で見て判るコイルまで左右が揃っていないのでは全くお話にならない。
「現代のATCはパワードスピーカーになっているのでトータルで位相を合わせているのかも知れないが」
 
案の定、確認音源14YAを掛けたら井上先生の生ウッドベースが巨大化し
巨人がエレベーを弾いているいる様に聞こえる。
中西さんのピアノ(アップライト)もグランドの様に大きいし音色も全く違う

フイルムコンデンサーとコイルを取り外してチェックし、回路に合わせて入れなおすと約半数の部品が反対方向であった。
 
ATC SCM100Pネットワークの画像2
 
お客様に正確な音場再現が出来る様になったと報告すると、それならアクセラレーターSA2MK2を取り付け、基板の裏打ちまでやって欲しいという事になった。
そこまでやれば全く別物となり、末永く満足して頂けるに違いない!
  
ATC SCM100Pネットワークの画像2
 
ATC SCM100Pネットワークの画像2
 

ヨーロッパ系スタジオモニター  

次に入ってきたのがPMC BB5だ
 
BB5参考資料
http://audio-heritage.jp/PMC/speaker/bb5.html
 
  PMC BB5外観
 
早速、確認音源14YAで鳴らしてみると音像の出方はノーマルのATCほど不自然ではない。
しかし、改良したATCと比べると輪郭が不明瞭で実在感があまりない。
 
その原因は?とネットワークを覗いてみてビックリした!
数百万円もするスピーカーに何とケミカルコンデンサーが多用してあるではないか!?
ケミカルコンデンサーは方向管理の必要はないが、反面音質的には???の部品である
10年程度で特性が劣化する物も多く、容量誤差が多いので低価格なスピーカーにしか使われないというのが常識の筈だが・・・
 
ネットワーク画像
 
小容量のフイルムコンデンサーを並列接続して補正はしてあるが、価格に対して何とも信じがたいのは私だけだろうか?
 
「しかもユニットとネットワークそしてスピーカー入力間の配線が半田付ではなく、安物のファストン端子で差し込んであるだけ」
 
このクラスのスピーカーを使う人はスピーカーケーブルにも拘っていると思うが、内部のこんな状況を知ったら驚かれるに違いない。
 
実は、このBB5はスコーカーの調子が悪く、修理を兼ねてチューニングをという事なので、どうせやるならネットワークを外出にと見積もりしたら、銅線で行っても2本で79万円も掛かる・・・
しかし数百万円のスピーカーなのだから、ユニットより音質への影響が大きいネットワークに手を抜くべきではないし、2〜3倍の費用で買い換えたとしてもロクな結果は得られないのはお客様が一番よく解っておられる筈だ。
 

ヨーロッパ系スタジオモニター その3  
 
次のスピーカーはB&W808だ、ご存じない方も多いと思うが
当時の輸入代理店であるナカミチとB&Wが共同開発した物らしい。
 
参考資料
http://audio-heritage.jp/BandW/speaker/808.html

まず数年鳴らしてない808だが、意に反して音像も正確でイキナリすっきりハッキリ鳴るので驚いた!
その原因は・・・
と内部を覗いてなる程なと感心した。
保護回路以外の音質に影響する所にケミカルコンデンサーは1本も使われていない!
低音 中音 高音が別基板で距離を取って配置してあり、音質に関わるところは全てが半田付で仕上げてある。
また、フイルムコンデンサーも大容量を使わず4.7μF程度を並列接続しESRを下げている。
これはインピーダンスを下げる目的と説明してよいだろう。

ここまでやってあるのだから、最後に残る問題点プリント基板の裏打ちだけを行った。
 
 
B&W NW1
 
B&W NW1
 
B&W NW1
 
B&W NW1  
 
更にSA(サウンドアクセラレーター)の最新型SA2MK2を奢る事にした。
1台に5個だから50,000円x10=500,000円も掛かってしまうが、
素性の良いスピーカーだけに最良に仕上げたいとの思いからだ。
 
そしてスピーカー端子はやはり見るからに昭和だ(笑)
SC処理済バインディングポストBP-SCに取り換えて終了した。
 
 
B&W808 SP端子  
 
ホールで鳴らしていると、お客様の口からは先ずどれが鳴っているんですか?との質問が有る・・・
私はこの時点でこっちの勝ちだと思っているが、聴感位相が揃うとこういう鳴り方になり、スピーカーユニットから音が出ているという感じにはならない。
かといって、音像はシャープで位置関係も明確。さらに実在感があるのだ。
 
当分ホールで鳴らしているので、B&Wのユニットは現代の方が良くなっていると思われる方は、一度CDを持って聴きに来てみられたら如何だろうか?
目に見えるユニットやエンクロージャーよりも、ネットワークや誘導雑音の除去がどれほど重要か?がお判りになる筈だ。
 
一通りのお客様に聴いて頂いたら
気に入られたお客様に90万円(2本)位で販売しても良いかな?
 
B&W 808ホール画像
 
B&W 808ホール画像
 
B&W 808ホール画像
 
B&W 808ホール画像 
 
ヨーロッパ系スタジオモニター その3  
 
BB5の外出しネットワークが出来上がった。
PMCオリジナルの様な補正は殆ど行っておらず、単純な-12db/octの3WAYだ。
 
BB5の外出しネットワーク  
BB5の外出しネットワーク
 
 
しかし、パーツのグレードが全く異なるのは素人が見てもお判りになるだろう。
方向管理した上質なコンデンサーと空芯コイルを使ったDENTECオリジナルネットワークの原型は45年も前に完成しており、空芯コイルからタップを出してレベル調整を行うという常識外れとも思える方式は、未だにこれを抜く物がないから延々と続いている。
しかも、常に改良を重ねた結果、現在では線径2.6mmのコイルとSOLENのフイルムコンデンサーにSC(スーパークライオ)処理を行い、素材の持つ癖を完璧に近く取り除いている。
 
出来上がったネットワークは新品だから当然エージングが必要だが、接続して音出しした瞬間に次元が全く異なる表現だという事は誰にでも解る程もの凄い!
24時間音出しして約1週間で修まるが、エージング終了の合図は高音の歪感だ。
それまで煩かった弦が突然滑らかになるのは、何時聴いても快感である!
 
元の配線とネットワークをボックス内に残すこの方法であれば、先でスピーカーを処分する際に完全にオリジナルに戻せるため、リセールバリューを心配する必要もない。
また大型スピーカーを運ぶ必要もなく、私の関東出張のタイミングであれば現地での対応も可能なのだ。
 
 

 
 
PMCのファンは多いと思うが、長年使う事による音質劣化の原因がケミカルコンデンサーなのだから、買い替えを検討する前に興味のある方は一度問合せ戴きたい。
 

 
● つづく ●


 

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