
世界中の全メーカーに対して挑戦状を叩き付ける様な凄いタイトルだが、なにも不安を募って金儲けしてやろうなんて気はさらさら無い。
始めに断っておくが、これから書く事は全て事実なので、もし、メーカーさんなどから反論があればメールでお受けします。但し、やりとりの内容を全て当HPで公開するので、予めご承知おき戴きたい。
このスピーカーの鳴りっぷりは、国産では群を抜いていた。
どれくらい売れたものかは知らないが、今でも愛用されているユーザーが多いのではないだろうか?
担当の松本が忙しいので、このスピーカーに関しては分解&組立て以外の作業を私が担当する事とした。
ネットワークは単純な12dbクロスで、何故かツイーターだけ逆相接続となっている。
LOW MID HIGHがそれぞれ別に作られ、影響が出ない様に別の場所に取り付けるといった凝った作りとなっているのだ。おそらく相当聴き込んで作られたものである事は、内部を見れば容易に想像がつく。
では、ネットワークを見てみよう。
まず、低音部だけ電解コンデンサーが使ってあるが、私には音質で選ばれた様には思えない、おそらくコストの制約を受けたのだろう?
次にコイルだが、ご多分に漏れず4個のコイルの内3個が逆接続となっている。
それでは、組換えだ。
コンデンサーを取り外し、全て同一材料のクライオ処理済みフイルムコンデンサーへセオリー通り方向を合わせて交換する。
コイルはそのまま使うが、逆接続の3個を繋ぎかえる。
後は、DENTEC SSC-CMで配線する。
と言った一見簡単な作業だが、手馴れた私でも半日掛かってしまった。
それ以外にエッジの張替え、再着磁、吸音材の交換を担当者が行ったので、完成までにトータルで3日は掛かっている。
皆さんは、このスピーカーを何処からお預かりしていると思われるだろうか?実は、静岡県富士市からなのだ?!
以前、私がクリニックにお伺いして弊社が行っている様々な事に賛同いただいた上での行動なのだが、他のスピーカーに買い替えるだけの費用(因みに今回は50万円強)を出してでも、正しい音を聴きたいとの要望なのである。おまけに、エージングが完了したころ、確認の為に態々広島まで来られると言うのだから、物凄い意気込みなのである。
いよいよ200時間のエージング開始だ
いきなり物凄く繋がりの良いバランスで鳴ってしまったので、正直言って拍子抜けしてしまった。これなら、微調整しなくても200時間経てばOKだと確信した。
ここで、エージングの効き方を書いておく事にする。
スピーカに限らず全てのオーディオ機器に通用するので今後の参考にされたい。
1. |
エージングは低音から高音へと徐々に効いていく
エージング開始後半日くらいは低音がブーミーとなり、だんだん締まってくる。
次はは中音が煩くなってボーカルなどは別人の声に聞こえる。それが収まると高音が煩くなって暴れるが、ここは辛抱だ。
その後昨日までの音は何だったのか?と言うほど劇的な変化が現れるのだから。 |
2. |
必ずエージング開始直後のバランスに戻る。
今回の例でも有る様に、直後のバランスが良ければ必ず200時間後にそのバランスに戻り、変化するのはレンジと音場だけである。
ここで怖いのは、もし200時間のエージングを経ていない機器で様々な評価がされていないのだろうか?と言う事である。
例えば、雑誌社に送られた試聴用機器であるが、私にはメーカーや輸入代理店がそこまで周到に準備しているとは思えないのだ。
200時間と言えば、丸24時間鳴らしても8.3日も掛かるのであるから。 |
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