当初この店ではLC-AUDIOというデンマークの会社のマスタークロックを扱っていた。この会社の社長が今度 DEXATechnologies という会社を設立し、D-Clockというもののサンプルを送って来た。それがものすごいものだったそうで、サウンドデンで扱うことがすぐに決まった。 私は早くからサウンドデンに依頼してLC-AUDIOのクロックを搭載したCDプレーヤーを使用していた。一度まともなマスタークロックのサウンドを聴いてしまうともう元に戻れない。これはアンプがどうのこうの、スピーカーがどうのこうのという問題とは別な次元なのだ。たとえば懐かしい話だが、カセットデッキを思い出してほしい。カセットデッキはアナログなのでワウフラッターがあった。回転ムラのことだ。ピアノなどを録音すると「ポーン」ときれいに尾を引かずに「ポ〜〜ン」ニ音が揺れる。音感が鋭い人には耐えられないもの。これはアンプにジェフローランドを使おうがマークレビンソンだろうが関係ない。スピーカーが10センチだろうが38センチだろうがこれまた何の関係もなくスピーカーから不快な音揺れが出てくる。マスタークロックもまったく同じことなのである。
こう書けばお分かりだろうか。ワウフラでキョロキョロ・ケロケロと音が揺れるカセットデッキでピアノを聴いていたらどんなに高価なシステムでも真価を発揮できない。低音が出るとか高音が伸びる、音が締まるとかという問題よりも、再生される音楽そのものの品位が最初から話にならない。それと同じことがクロックにも言えるのである。