■その2
前回、お客様紹介に載せていただいて2年半が過ぎてしまいましい、そろそろ記事を更新してはというお話をいただきました。
アナログレコードをやっていた者としては、どうしても四角い箱のCDトランスポートにはなじめず、P-0を使い続けています。
P-0を使っているユーザーのお宅に、最新のクロックを積んだ廉価なCDトランスポートを持ち込んで、ギャフンと言わせるのが藤本社長の趣味なのですが、P-0もクロックを積み替えると本領を発揮し、どの四角い箱のトランスポートにも負けない銘機だと思っています。
DAコンバーターは相変わらずYALですが、昨年春にデジタルセパレーターを導入して、非同期型の左右チャンネル独立の2階建て仕様になっています。
コンバーター電源の負担軽減、左右チャンネルのセパレーション向上、そしてセパレーターのクロックによるジッターの軽減により、YAL特有の線のしっかりした音そのままに、より豊かな響きと音場がひろがるようになりました。
その後導入した光ボリュームもOPユニット2基をコントロールユニットにパラレルに接続し、デジタル信号段階で左右に分離された信号は同じ基板を流れることはなく、完全にセパレートされた状態でスピーカーに送り込まれています。
スピーカーはジョセフオーディオのパールからウイルソンオーディオのシステム6フルチューンを経て、昨年末からオリジナルノーチラスを使っています。
昨年末、サウンドデンにノーチラスが入荷するとのことで、珍しいもの見たさ、聴きたさで、すぐに聴きに行きましたが、ウイルソンもよく鳴っており、ノーチラスを導入することになるとは夢にも思っていませんでした。
入荷したノーチラスは、お店でたまたま使っていなかったNCDのステレオアンプ4台を純正のチャンネルディバイダーにつないだ状態で鳴っていました。
しかし、ノーチラスの前に座った私は動けなくなってしまいました。
今までどのスピーカーでも聴いたことの無いような音像が、空間に存在していたのです。
ステレオなので空間に音像ができるのは当たり前?の話なのですが、実在感が桁違いに高いのです。
NCDアンプとはいえ、電源のトランスも揃ってない寄せ集めをポンとつないでこの音です。
もちろんサウンドデンのシステムですので、そのへんのシステムとは比較になりませんが、オリジナルノーチラスの素性の良さをこれでもかと訴えてくるようで、ピアノ運送に運んでもらうから送料は別だよ、と言われても断ることができませんでした。
いままでのオーディオ人生でも、こんなスピーカーとの出会い方をしたのは初めてです。
ノーチラスを自宅のオーディオルームに納めて半年以上経ちますが、電源トランスをデジタル系とアナログ系に分けたくらいで、ひたすら聴き込んでいます。
4ウエイユニットのつながりもまったく違和感が無く、このようにレンジの広いフルレンジはあるはずがありませんが、それでもあえて言えば、高音から重低音までフルレンジのようなつながりの良さです。
今までチャンネルディバイダーがあまり評価を得なかったのは、パワーアンプの入出力の位相の違いに個体差があり、チャンネルが増えるほど音を悪くしていたのではないでしょうか。
両チャンネルの各ユニットの位相がきちんと揃っているためか、ヘッドホンを聴いている時のような正確な音像が、頭の中ではなく目の前の広い空間に出現します。
ローランドリサーチ(現ジェフローランド)のパワーアンプも箱の側面をステンレスの板に換えられ、そこに手巻きの特性トランスが固定されています。
箱の中身は容積のほとんどを大型のフィルムコンデンサーが占めており、4系統の電源を8チャンネルのNCDユニットに給電しています。
8個のNCDモジュールはもう箱に入りきらず、4個ずつ10mm厚のアルミ板に固定され、ラックの裏の左右に置かれています。
電源には音を鈍らせる電解コンデンサーは一切使われていません。
そのため、スピード感、アタック感が大変優れた音で音像の空間合成がなされており、レンジの広さ、情報量の多さも申し分ありません。
P-0、YAL、ローランドリサーチ、オリジナルノーチラスと、ほとんどビンテージ?
といえるようなラインアップですが、オーディオも道具としての愛着を持ち、使い続けることができればと思っています。
オーディオを長くされている方の装置を聴かせていただくと、最新の装置ではなくても、その方の為人を表現しているような鳴り方で、とてもうらやましく思うことがあります。
私もしっかり鳴らし込み、聴き込んでいき、自分なりの音を仕上げていこうと思っています。
しかし、そんな贅沢を言えるのもサウンドデンの技術力のおかげですし、自分の求める音に到達する近道がサウンドデンにはあると思います。
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