電源の重要性

2003/4/24

最近は全国的にA&Vルームの電源工事がブームとなっている。
雑誌やあちこちのHPで紹介され、何故それが重要なのだろうか?と疑問を持たれた人が多いのではないかと思うので、ここでは、電気的な知識のない方にも解りやすく説明してみようと思う。
 
発電所で作られた電気は、非常に高電圧(数千ボルト)であり、家庭電化製品の殆どは100Vである。
では何故?その様に高電圧で送る必用があるのだろうか?
 
例えば、1000Wの電力を送る為には100Vであれば10Aの電流が流れるが、1000Vでは1Aとなり10000Vでは0.1Aとなる。
電線には抵抗があるが、それは太く成る程低くなり大電流が流せるから、同じ太さの線であれば電圧を高くした方がロスが少なくなるという小学校の理科で習った理屈(オームの法則)で成り立っているのだ。
つまり、同じケーブルを使うのなら電圧を高く、電圧を変更しないのならケーブルを太くした方が良いのである。
 
では、電気工事を行って我々が改善できるところは何処までなのだろうか?
 
発電所→変電所→柱上トランス→積算電力計→分電盤→コンセントという流れの中で、積算電力計までは電力会社が管理しているので、勝手に変更する事は出来ないが、柱上トランスから電力計(メーター)までの配線は、工事業者による申請手続きで変更出来るから太い線を這わせた方が良いと言う事になる。
(要は、電気を沢山使う積りだから太い線に変更してくれと言う事だ)
 
メーターから分電盤までの配線は、工事業者に頼めば変更出来るから、現在の配線から2サイズ程度太い線に変更して貰えば良いのだが、この部分の配線材にはオーディオグレードの材料が出てくるだろうから、後でやりかえる事にならない様に、それまで待った方が得策ではないだろうか?
 
よく観察して欲しいのだが、分電盤には赤・白・黒の3本の線が入ってきているのに各部屋への配線は白・黒の2本の線しか行っていない。
何故だろうか?
 
その理屈は簡単だ!一般家庭には100Vが2つ直列になって入ってきているのだ。つまり両端に配線すれば200Vであり、中点とどちらか一方と配線すれば100Vとなる訳だが、ここにオーディオ機器にとって大きな問題点が潜んでいる事を知らない人は意外に多い。
 
例えば、一方の100Vに大電力家電機器が繋がり、もう一方にオーディオ機器が繋がっていたとする。
大電力の家電製品による電圧変動は、反対側のオーディオ機器にも必ず比例して現れるのだ。

つまり、家電機器によって電圧が下がると反対のオーディオ機器の電圧が上がるというシーソーゲームとなり、この電圧変動は貴方が想像する以上にオーディオ機器のグレードを左右しているのである。


2003/4/25

では電圧変動を防ぐにはどうすれば良いのか?
答えは簡単である!2つの100Vが同じ負荷であれば、お互いに影響して変動する事は無くなるのだ。しかし、その様な事はまず有り得ない。
 
私は今までに一石三鳥の方法を提唱してきた。
それが、200Vからトランスを介して100Vに変換する方法なのだ。

(1)分電盤から200Vをオーディオルームまで引き(実際には分電盤で結線を変更するだけ)壁コンセントを200V用に変更するのだが、前に述べた通り電圧が2倍になれば同じ屋内配線でも2倍の電力を供給できる様になり、エネルギー感を大きく改善する。
 
(2)100Vの家電製品によって電圧が変動したとしても、トータルの200Vには変化は無い訳だから安定した100Vを取り出せる。
 
(3)トランスによるノイズカット効果が期待できる。
 
この方法は、何も私が始めて提唱した訳ではない。
随分昔から言われてきたので、実際に実行されている方も沢山いらっしゃるだろう。
しかし、200Vを100Vに落とすトランスの質について言及した人が居ただろうか?
私の知る限り、トロイダルトランスのFINAL 3KVAを除いて、柱上トランスと同じグレードでの比較しかされていなかった様に思うのだ。
 
オーディオグレードのトランスを作るには非常にコストが掛かる。
コアー材・配線材・配線方法・部品・ケースに至るまで全てが音に影響する訳だから、それぞれに音質を優先した物を採用するとなると、とんでもない金額になってしまう。アンプやスピーカーよりも高価な電源トランスに意味があるのか?という質問に対して、私は、装置を生かすも殺すも電源だ!と言い切れる。
 
とにかく一度、装置の買い替えを考える前に、電源環境の見直しを行って欲しいのである。
 
高価な電源タップや、アンプ式電源など他の方式で対策を行われているユーザーにも、音を聴いて頂ければ、この方法が他のものとは根本的に異なる事がお解りいただける筈だ。不満点の大半がそれで解決するとしたら、高価な電源トランスがむしろ安いと感じられるのではないだろうか?
 
1998年に開発したIPT1500は、既に50台以上を販売しているが未だにプロの録音現場やオーディオルームで活躍中であり、一台も下取りに出てきていない。
 
未だにこれを抜く製品が市場に無いと言う事ではないだろうか?
この度新開発したIPT3000は、このIPT1500で蓄積したノウハウをフルに投入し、ハイパワーアンプにも余裕の容量と、徹底した音質対策を行った結果のいわゆる集大成だ!
 
言葉が適切かどうかは解らないが、変電所(IPT3000)をオーディオルームへ持ち込む事で、部屋の空気が変わったと感じる程のS/Nの良さと、溢れ出すばかのエネルギー感を味わってほしい。
これから日本中を試聴で持ち歩く事になるのだが、今からお客様の驚きの表情と笑顔が楽しみだ。
ただ悪い事は一つだけ!64kgという重量である。
オーディオは体力だ!


2003/6/10補足版

IPT3000の使い方において、従来の電源装置にはない効果と設置上の不都合を確認したので、購入を検討戴いているお客様の為に補足説明を書かせて戴く事とした。
 
お蔭様で、我がIPT3000は何処へ持って行っても装置を全部変えたのではないか?と錯覚する程の改善効果が現れ、納品を待ちきれないお客様は試聴機をそのまま置いてってくれと言われる程ご好評戴いている。
兎に角、音がどうのこうのと言った次元の話ではなく、いきなり眼前にライブが現れる様な変化をするのだから、お客様からすれば、頼むからこのまま触らないでくれと言われるのも無理も無い話だ。
 
しかし、不具合が全く無かったわけでは無いので、ここで報告しておこうと思う。
関東のお客様から納品後一週間経っても、最初に試聴した音にならないから、試聴機と入れ替えてくれと電話が有った。
その試聴機は京都のお客様が既に使っておられるから、入れ替える訳にはいかない。
そこで、店の試聴室で最初から鳴らしている(一番エージングが効いている)物と入れ替える事にした。
 
ところが、入れ替えても一向に良くならないのである!
色々チェックした結果、原因はIPT3000の配置にあったのだ。
最初の試聴時には、2台有ったラックの前に電源を設置し各機器へ接続していたものを、ラックを1台にして下段にIPT3000中段にプリアンプ上段にCDプレーヤーという配置に変えられていた。20cm程度しか離れていなかったのである。
そんな訳だから、IPT3000をラックから出して1m程度離しただけで音は激変し、当然、最初に試聴して戴いた音に戻った。
 
納品時に説明を怠った私にも責任はあるのだが、大型のパワーアンプもすぐ傍にある様な状況であり、これ以上配置を換えたくないとのご要望を踏まえ、即座に引き取らせて戴く事とした。
何を優先するかはお客様の自由なのだから、しょうがないだろう。
しかし、あの音を聴いてしまって、他の方法で満足されるとは到底思えないのだが……。
 
こんどは、良い報告だ!
従来の電源システムでは、デジタル系とアナログ系の両方を接続すると必ず、ディジタルノイズが回り込んで音が悪くなっていた。
電源システムを複数使って対処されているユーザーが殆どだと思うのだが「IPT3000に限り」両方同時に接続した時が一番音が良いと言う事が判明したのだ!!!
 
何故そうなるのか?
それは想像にお任せするが、間違いなく従来の常識が通用しないのである。
したがって、前述のIPT3000と1500を使った大掛かりな電源システムは必要なく、IPT30001台の場合がBESTとなるので、ここに謹んで訂正させて戴きます。

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