ビンテージスピーカーとは その1 2002年2月5日
  
 今までにどれくらいのビンテージスピーカーを取扱ったのだろうか?思い出すままに挙げてみよう。

JBL/ハーツフィールド・パラゴン・メトロゴン・ハークネス・ハーレン・オリンパス・アポロ・L101・L77・L44・etc
ALTEC/A7・A5・620A・820A・マグニフィセント・バレンシア・コロナ・etc
TANNOY/オートグラフ・GRF・レクタンヨーク・コーナーヨーク・ランカスター・VLZ・etc
JENSEN/インペリアル・トリプレックス・コンチェルト・etc
SIEMENS/オイロダイン・バイオノール・KLIPSCH・KBWO・VITAVOX・CN191・バイトーンメージャー
 
などなど数え上げれば切りがない。
 
 では何故ビンテージスピーカーを扱ってきたのかを説明しなければなるまい。よく古い録音のソフトを聴く場合には、その年代のスピーカーが良いなどと宣伝している業者を見かけるが、私はそうは思わない。何故なら、今も昔も楽器の音は変わらないと思うからだ。
 
 私がビンテージだと思っているのは、米松などの合板もしくは単板を使っているもので、1950年〜70年くらいまでに作られたそれらのエンクロージャーは、すでにしっかり乾いており、指で叩くとコンコンといった澄んだ音がする。
 
 しかし、それは単に材料だけの問題ではなく、長い間鳴らされてきて始めて今の音がするのである丁度銘器と呼ばれる弦楽器の様ではないか
 
 当社で扱うビンテージスピーカーは、他社と比べるとかなり高いと言われる。良くある例だが、当社で試聴して音質に惚れ込んだものの、他社では2〜3割安く売っておりそれらを通信販売で買われる事がある。
ところが、似ているのは外観だけで、肝心な音は全く別物なのだ。
 
 ショックを受けて何とかしてくれと言われても、当社は慈善事業をしているわけでは無い。手間が掛かっただけの費用を戴くと、結局は当社の販売価格より高くなってしまうのである。
 
 しかし、そうやって改善できる物はまだ良い。ユニットが左右違ったり、極端に製造年代が違ったりすればいくらなんでもお手上げなのだ。
 
 なにも当社が一番良いと言うつもりは無い。何が問題なのかと言えば、ビンテージスピーカーを気に入ったら、その現物を買うしかないと言う事なのである。


 
ビンテージスピーカーとは その2 2002年2月6日
  
 当社では他店では信じられない様な買い方をされるお客様がある。特に関東のお客様であるが、ご希望のスピーカーがたまたまストックが無かった場合には、一緒に横浜の輸入業者の倉庫まで行って貰うのである。
 
 ここまでは関東の業者がよくやる手段で、そのままお客様のところへ配達するのだ。そうすれば経費も掛からないので、安く出来るか儲かるのであろう。しかし、当社の場合は完全整備を謳っているからそうはいかない。
 
 まず広島まで現物を運び、部品交換 再着磁などを済ませエージングが効いた頃に、広島まで態々ご足労願うのである。試聴室でジックリ聴いて頂き、音質にご納得戴いた上で、改めてご自宅までセッティングに伺うのだ。
 
 一見無駄な様に思えるその方法が、実はそのお客様にとっては一生付き合えるビンテージスピーカーを手に入れる最善の方法であり、近道なのである。
 
 確かに経費が掛かる分、他社より何割も高くなってしまうが、一生納得して使えるのなら安いもんだと言って頂けるのだ。もっとも納得されていなければ、だれもこんな酔狂な事はしないだろうが……。
 
 そういった買い物をして戴いた客様とは家族ぐるみのお付き合いとなり、10年20年いや一生涯、音楽という心の糧を通してお付き合い戴きたいと思う。

 
ビンテージスピーカーとは その3 2002年2月8日
  
 ここで同じスピーカーでもどれくらい音が違うのかを書く事にする。決して大げさではなく、天と地程も違うのだ。
 
 例えば、今までに8セット販売しているハーツフィールド初期型だ。流石にユニットとエンクロージャーを厳選しており、劣化する恐れのあるコンデンサーを交換しているから左右の音の違いは無い。
 
 しかし、ある物は低音が篭り、ある物は音抜けが悪く、ある物は中低音が抜けて聴こえる、と言った風に千差万別なのである。
 
 当時は使用環境の差によって、エンクロージャーの響きが異なる所為だと思っていたし、お客様にもその様に説明していた。
 
 しかし、着磁機を入手してからはその考えが間違いであった事が解った。ハーツフィールドの初期型と言えば製造後50年近く経っているのだが、JBL自慢の最強アルニコユニット150-4C 375シグネチャーも、30%〜40%は磁力が落ちているのだ。
 
 つまり、使用頻度の高かった物ほど減磁率が大きく、その差が音になって現れていたのである。エージングなどの他の要素もあるが、パワーの源である磁力の低下は、エネルギー感やS/Nの差となって現れるから、一番大きな要因であったのだ。
 
 いくら銘機と言えども、この様な状態で手に入れたのではその本領を発揮する訳もない。音が気に入らないからと手放す人もいるだろうし、他に比べる物が無いからそんなものだろうと諦めて使っている人も沢山いるのだろう
 
 ビンテージの管球アンプじゃなければ鳴らないと言われれば、それを求める人も多いと思う。しかし、音が変わるだけで原因が他に有るのだから根本的な事が解決する筈も無い。事実、当社で試聴に使うアンプはビンテージではなく、FASTやマランツPA02の様に癖の少ない比較的低価格なトランジスターアンプなのだ。
 
 ビンテージスピーカーには現代のスピーカーには無い魅力が確実にある!原音云々ではなく、楽器の様に音楽を奏でる要素を持っているのだから、それを引き出さなければビンテージを使っている意味が無いではないか。
 
 引き出すのはアンプでもケーブルでもなく、衰えた磁力を復活させる事なのだ。貴方の決断さえあれば、僅かな費用で本来の音を取り戻すのだから……
 
 是非、本来銘機が持つ、朗々とした鳴りっぷりを取り戻して欲しいものだ。

■終わり■


 


 


 

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