励磁型ハーツフィールド登場

2021/6/25

CAL(ClassicAudioLoudspeaker)C30HARTSFILD(FieldCoil)

JBLのビンテージスピーカー ハーツフィールド。
オーディオファンなら知らない人はいないと思われるが、現物を目(耳)にされた方は少ないのではないだろうか?

弊社でもビンテージを積極的に扱っていた1990年代にはオリジナル(旧タイプ)を7セット販売しているので、その雄大な外観に見合った音質を耳にされた方もおられるだろう。

この度紹介させて頂くハーツフィールドは
アメリカ ミシガン州のクラシックオーディオラウドスピーカー社による製品で、エンクロージャーは勿論 ウーハー ドライバーユニットまでハンドメイドされている。
ただこれだけなら、オリジナルより良いとは思えないので取り扱う気は無かったが、ユニットが励磁型と聞いて俄然興味が湧いて来た。

このハーツフィールドを知ったのは、アメリカへ移住されたお客様からの情報だったが、JBLのオリジナルを使われていた本人も既に入替えておられ、生演奏に非常に近い異次元の音質との評価だった!
本来なら現物を試聴して決める冪だが、コロナの所為で渡米する訳にもいかず見ず聴かずのオーダーとなったが、彼の耳は確かなので全く不安は無かった。
 

2か月後に届いたハーツは200kg以上ありオリジナルより重かったが、キャスターが付いているので2人で試聴室に収まった。

ドライバーユニットのダイアフラムがTAD同様ベリリウム製という事で、エージングに時間が掛かるため適当なAVR(安定化電源)を接続して早々に音出しを開始した。

「TAD4001はエージングに10年掛かると宣ったP社の営業もいた」
以前のリファレンスTAD R1では1000時間以上掛かったが、24時間のエージングで一体どれ位で収まるのだろうか?


2021/6/28

取り合えず接続して鳴らし始めたハーツフィールドだが
翌日の低音はモコモコで中音が煩く、とても聞いていられる状況ではない。
先ずはサウンドアクセラレーターSA2mk2を取り付け、エージングを進める事にした。
 
ところで、写真の床に転がっている木箱だが所謂ネットワークである。
内部をチェックするとウーハーは直結(フルレンジ)で使われており
ドライバーとツィーターのみコンデンサーでローカットしボリュームでレベル調整している。
 
38cmウーハーをフルレンジで?と驚かれるかも知れないが、このやり方はJBLには多々あり、旧くはハーラン ハークネス~L101まで多く見受けられ其々評価が高いのが面白い
 
しかし、この中低音のモコモコが本当に収まるのだろうか?
音像が大きく不明確で全くお話にならない。
 
取り合えず、1週間(168時間)はこのまま鳴らす事にした。


2021/7/1

1週間が経過して低音の篭りは大分収まってきたが
まだ音像が大きく輪郭がハッキリしない。
 
ところで、このハーツフィールドだが2WAYで注文したのに3WAYが届いており
何でもサービスという事だった。
 
しかし、ツィーターがホーンレンズの位置に取付てあり(オリジナルも後期型3WAYはその位置)、音としてのバランスは取れるが位相ズレが発生する。
しかもツィーターは励磁型ではないので配線を外してエージングを続ける事にした。
 
ドライバーが10cmのダイアフラムでしかもベリリウムだから時間が掛かるのは承知の上だが、こんな聞くに堪えない状況をユーザーに求めるのは酷というものだ。
 
話は代わるが、中古市場には比較的新しいスピーカーが結構出回っている。
おそらく、それらの大半はエージングの終了を待たずに手放しているのだろう。
エージングの終了が近付くと高音が煩くなり、買換えを勧められて見切りを付ける・・・
そんな構図が見えてくる。


2021/7/5

2週間が経過した。
 
今頃になってだが、ハーツフィールドに接続しているアンプは
DP-NC400-4-EXPでPWMデジタルアンプだ。
 
CALでも真空管アンプを使っており、世に有るハーツフィールドの大半は真空管で鳴らされているのだろう。
しかし、弊社ではここ20年来どんなスピーカーでもディジタルアンプで鳴らしている。
元々真空管アンプ専門店だったにも関わらず、ディジタルアンプを勧める理由は、昨今の粗悪な真空管を使う位なら、位相管理されたPWMアンプの方が数段良いからに他ならない。
 
また、高周波まで波形が通るディジタルアンプでエージングが完了していれば
質の良い真空管アンプの良さが発揮されるので、後はユーザーの好みで良いだろう。
 
さて音質だが、ウーハーはかなり収まって中低音の音階が明確となり
高音の伸びも出て来た。
 
明日から関東出張で1週間チェック出来ないが
帰ってどれくらい変化しているか楽しみだ。


2021/7/8

出張から帰って聴いた第一印象はウーハーはフルレンジで使った方が良い!?・・・だった。
フルレンジとはいっても複雑なフロント折り曲げホーンによって高音はかなり減衰しておりメカニカルなネットワークとなっている。
問題は、その使い方で位相が揃うのか?であり、折角音源位置が揃ったハーツフィールドの良さが発揮されるかどうかだ。
 
実は、励磁型のハーツフィールドは既に千葉のお客様宅で鳴っており、励磁型 フロントロードホーン というだけで、私を信用して聴かずにオーダーを戴いたのだ。
今回もお邪魔して数時間聴かせて頂いたが、ウーハーは既にエージングが効いておりドライバーも試聴室より1000時間以上進んでいる。
つまり、慣らしが進んだらどう変化するかを実体験させて戴いた。
結果、励磁型にアクセラレーターを取り付ければ「オリジナルとは異なるCALの使い方が正解という結論になった」
  
さて、励磁電源にAVR(安定化電源)を使っていたが、各ユニットの最適電流値が出たので、ファインメットトランスの定電流FTS-8FIに入れ替えた。
しかも、低音と高音を別々に左右で4台だからこれは効いた!
ドラーバーの煩さがかなり減り、音像の輪郭も明確となった。
 
何故励磁電源でこれほど音が変化するのか?だが
答えは単純で、ボイスコイル 磁気回路 励磁コイルでトランスを成形しているからに他ならない。
つまり、音楽信号と直流電源がお互いに影響しあっているのだ。
  
私は確認音源で各ユニットが正確に現場を再現出来る電流値を決めているが、元を知らない音源ではそれは出来ない。
結局電圧を可変し、好みの音を作って遊んでいる事になってしまうのだ。


2021/7/12

次のステップは銀線化だ
 
「千葉のお客様宅では信号系は勿論 電源系まで全て銀線となっており、付帯音が殆ど無い演奏会場が再現されている」
CALのMr.Johnに銀線を使うと伝えたら、俺は銀線は嫌いだと言っていたがSC処理を行っていなければ嫌われるのも無理はない。
まして部分的に銀線を導入すると、それまでマスクされていた他の銅線の付帯音が露見してしまいそれを銀線の所為にされてしまうのだ。
 
先ずは信号系の全てを入れ替えだ。
片チャンネルだけやり替えて聴くと、左右で全く音が異なり銅線の方が音像が大きく煩い。
今更ながら銀線は凄いと千葉のお客さんに話したら、作った本人が何を今更と笑われてしまった。
 
ついでにユニット直近にACF30AS(ファインメットコア銀線コモンモードノイズフィルター)とRWC1(高周波フィルター)を取り付けた。
これで更に明確な音像と柔らかさ加わったので、そろそろ近場のお客さんへ聴いて貰っても良いかな?という音になった。


2021/7/15

更に1週間が経ったが、まだ高音が煩くなりバランスが崩れる時が有る。
 
ならばと、電源系も全て銀線に取り換えファインメットフィルターRWC1を追加した。
励磁電源だから後で良いと思っていたが、片側だけ変更して聴くと銅線の方は音像が大きく付帯音が有る。
両方加工したのが月曜日で火水の定休日後、木曜の音は全く別物になっていた。
 
ところで、上に載っているスーパーツィーターHIT-STF/Dは10000HZ以上を再生しているが、70才の私の耳には音が出ている様には聴こえない。
しかし、前後に動かすと中低音まで大きく変化するからmm単位の調整が欠かせない。
これが、銅線だと付帯音が多いので位置決めが難しく中々ピタっと来ないが、全て銀線になると簡単に合わせられるのだ。
 
あれこれやっている内に1000時間を超えたが、まだ少しずつ変化している。
やはりホーン型は能率が高いだけに少しの変化もハッキリ出る様だ。
  
そうそうしている内に九州の取引先がやってきた。
私の耳にはまだ煩いところが有るのに、このドライバーは凄い!を連発し、しかし低音がまだ云々というので、基音と倍音の相関関係を説明した。
倍音(高音)が奇麗に出ていないから基音(中低音)が不明確となり低音も伸びて聴こえないのだと・・・
当日はそれで終わりコロナ禍で自粛している町へ出たが、行き付けは何処も開いておらずホテルの近場で簡単に食事を済ませた。
  
さて、驚くことに翌日はまるで霧が晴れた様に激変していた。
煩さは殆ど影を潜め、柔らかく明確で立体的な音像となっており、昨日のソフトが全く別物に聴こえるから二人共驚いた!
  
これを待っていたのだ!
取引先にも貴重な体験となっただろう


2021/11/29

随分間が空いてしまったが、どうしても気になるところがあるのでドライバーを改造した。
励磁電源とボイスコイルの入力端子だが、JBL似のバネで挟むタイプが使われている
ネジが真鍮なので鉄よりはましだが銅製のSC処理BP-SCに取り換えた。

これで全く違和感のない自然な音に変化し、眼前に実物大の音像が出る様になった。
 
その話を聞きつけ、コロナが落ち着いたのでと千葉のお客様が聴きに来られたが、
普段聴いているCDが全く違う演奏に聴こえ
これは反則だ!こんなの聴かされたら家に帰って聴く気にならないと頻りにボヤかれていた。
 
頻りに寸法を計って帰られたが、オーダーを頂く日も近いだろう
「ちなみに、このお客様にはスピーカー以外は全く同様のシステムをお使い頂いている」
 
しかし、ここまで来るのに40年以上も掛かってしまったが
SC処理 銀線 ディジタルアンプ SA(サウンドアクセラレーター) RWC1 励磁電源 HIT-STF/DENTEC
CD再生システムと、どれ一つ外してもこの音になりはしない。
今だから聴ける究極の生演奏再現システムと言えるだろう・・・
 
愛聴のCDを持ってご来店頂きたい。
貴方が体験した事のない、生演奏に匹敵するオーディオシステムをご試聴あれ。

 
>>> こちらもお読みください。
 励磁型ハーツフィールド CAL C30 HartsField


 

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