- 2010年02月18日「NCDXを導入しての感想」
- 2006年12月17日「SoulNote dc-1.0/FTのレポート」
- 2002年「最初のレポート」
「NCDXを導入しての感想」
2010/02/18
そうですか。今年でうちにALTEC 820Aが来てもう8年近くになるのですね。
サウンドデンさんの「お客様のページ」に掲載していただいている記事を読み返すと、当時のことや、これまでの道のりが思い出されます。
私が再生に求めること。それは「色香」と「グルーヴ」です。
「色香」というと変な例えですが、心を揺さぶる演奏には「人気(ひとけ)」や「気配」といったもの以上に漂う独特な「色」を感じるものです。
ALTEC820AとマッキンMC240との組み合わせで始まったオーディオライフでしたが、そりゃもう楽しい音でした。MX110チューナープリを合わせたころには、多少のアラは気にならない気持ちの良い魅力がありました。しかし、蜜月は長くは続かず、生演奏を聴くにつけ「何かが生とは違う」という思いが頭をもたげ始めました。
後にアンプはカンノ300Bとなり、また入力系の見直しにより情報量も豊かに、かつ繊細で美しい音色を獲得することになりました。しかし、サウンドデザインはより複雑になり、私の拙い経験では「気配」以上の魅力的な「色香」を巧く表現出来ない状態が続きました。
そこで出会ったのがデジタルパワーアンプ「NCD1」でした。
管球アンプのような、たおやかな中音でありながら、歪みの無い澄んだ音色。加えてハイスピードな駆動力。アタック音のなかに埋もれたかすかな「芯」が結実し、演奏者が紡ぐ微細な技が、「グルーヴ」として心を揺さぶる。「これだ!」と思った瞬間でした。
この美味しいバランスを壊さないためにも、装置をシンプルさを重視して再構成しました。
プレーヤーは、再生にピーキーな特性を示さないEsoteric SA-10を選択し(もちろんクロックチューンを行わないと普通のプレーヤーですが)、ALTEC820Aとともに使い続けているウルトラアッテネーターを内蔵したパッシブプリメインアンプを作成していただきました。
これだけです。8年間、サウンドデン藤本社長に最新の技術とイマジネーションを提供していただき、ALTEC820Aを核にした「古くて新しい音」をこれ以上ないシンプルな構成(いささかの経済事情もございますが…)で再生することが出来るようになりました。
…と、これまでは過去の話です。過去になりました。
忘れもしない、2009年11月のASC定例会。「NCD1」と同じDEXA社の新製品「NCDX」の会員限定のお披露目でした。
ASCの定例会ですと通常、ほぼ決まったソースで試聴を行います。確認音源と定番のモダンジャズとあまり多くない編成のクラシック。聴くのは大概、頭の1:30程度です。
が、その日は違いました。
想像をはるかに超えて向上したS/N、スピード。それがもたらすのは、取りこぼしの無い情報の再生力、無音部分すら描ききってしまう音場の再現力、そして演奏者の意図を正確に伝える表現力。
誰も停止ボタンを押そうとしない。
その場にいる皆が「これをウチで鳴らしたら?」と思っていたに違いありません。私もその独りでした。「これはオレが欲しいんじゃない、絶対に820が欲しがるアンプだ!」
という訳で現在、ちょっとしたLuckもありNCDXはALTEC820Aを心地よく鳴らしています。もう一つの懸案であったプレーヤーの情報量、表現不足はD-Clock NeutronStarの導入で見事にクリア出来ました。
NCDXの超絶のトランジェントにも見事追従しているこの1950年代生まれの御大にも感心しきり。ったく、自慢のジジイです。
終始拙く抽象的な表現で恐縮です。実はKanjiさんからDentec掲示板ですばらしい評価を頂きましたので、是非転載の許可を頂いた上で掲載していただくことをお願いして筆を置きます。
■現在の機材構成
用 機 器 |
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Y
Kanjiさんより頂いたご評価~
デンテック掲示板より
先日、ASC会長宅のモジュール入れ替えに立ち会ったのですが、NCD1とNCDXの違いの大きさに驚きました。
会長はアルテック820Aをお使いなのですが、今までは大変おおらかな音で、オリジナルノーチラスとは対局的な音楽を聴かせてくれていました。
しかし、NCDXを繋いで出てきた音は一発目からビシッと締まった音で、今までのぼやけた感じや曖昧さは感じられなくなっていました。
ホーンとウーファーの位相差、2発の15インチ大型ウーファーの位相差、箱鳴きはこのタイプのスピーカーの個性でもあり宿命でもあると思っていたのですが、小さなNCDXモジュールがスピーカーを完全にドライブし、ねじ伏せているかのようです。
あの小さなモジュール1個が、2インチドライバー、15インチウーファー2発、おまけにゴトーユニットのツイーターまでドライブしきっているのは驚きです。
ただし、アルテックが現代のモニタースピーカーのような音になってしまったかというと全くそのようなことはなく、まるで映画館の大型スクリーンに映し出された映像のような大きな音像はアルテックの真骨頂といったところではないでしょうか。
「D/Aコンバーター SoulNote dc-1.0/FT(フルチューニング)の感想」
■会員制DENTEC掲示板からの抜粋
06/12/17
本日デンさんに昨日の挨拶をしに行ったら、帰りには大きなハコを持ってました(w
早速繋げて今も聴いているのですが、大変です。
さっきジェイムズ・イングラムの唾が飛んできました(爆
的確な音像、音場表現は、CDPとDACのデュアルD-Clockの成せる技でしょうか。さらにフルチューンによってS/Nが昇華した結果に思えます。
音色や響きは皆さんの評判通り!これまで脳内変換していた部分がちゃんと音になって聞こえている、といったところでしょうか。
ミンガスで聴く井上先生のコントラバスの響きの、かなりの成分再生出来ています。
とまあ知ったげなコメントをしましたが、ウチのシステムはアルテックのビンテージに300Bシングルアンプなんですよ!なのに!どうしちゃったんだ!(w
弊社のお客様の中で、この方程ラッキーな人は居ないだろう。
リスニングルームをリフォームするから、一生付き合える装置を揃えたいと来店されたのが2002年の12月だった。
まず、スピーカーからと言う事で色々聴いて貰ったのだが、「エラが自分の為に歌ってくれている様な音が欲しい」と言う何とも贅沢な希望の為、ビンテージで行こうと言う事にはなったのだが、色々聴いて貰ってもどうもピンと来ないらしい。
しかも、話を聞いて見ると、どうも自分の音がまだ掴めていない様子なのだ。
そうこうしている内に、私がALTECの820Aを持ち帰った場面に遭遇されたのである。
820Aは彼の予算を遥かに超えるスピーカーであり、私としては薦める積りは全く無かったのだが、チョット聴いて見ますか?って言う感じでホールにセットしたのだが、彼はその音に目を剥いて聴き入ってしまったのである。
「これを下さい」と言う言葉が、彼の口から出るのに一時間も掛からなかったのではないだろうか?
彼の悩みは、105dbを超える高能率な820Aを、自分の音で鳴らす為にはどうしたら良いのか?へと変わっていったのだが、取り合えずスピーカーが決まったのだから、色々聴いてみたらと言う事になり、それじゃASCに入会して会員宅の音を色々聴かせて貰おうと言う事になったのである。
ところが、会員宅に足を運んで色々聴かせて貰った結果、何とミンガスの音が良いと言われるではないか!
ミンガスと言えば、パワーアンプがマッキンのMC30だから、マッキンの出力トランスの音が気に入ったと言う事になる。
丁度、低価格で出せるMC240が入荷していたので聴いて貰ったのだが、本質的には気に入られたものの、もっと解像度が欲しいとのたまったのだ。
程度の良いMC30を探すよりも、デザインが気に入ったのでこのMC240をチューニングしてくれと言う事になり、例の如くコンデンサーを全て交換し、アースラインを銀線に張り替えたのである。
果たして、S/Nが良くなり出力トランスの個性だけとなったMC240は彼のお眼鏡に叶った。
しかし、次の問題はCDプレーヤーである。
それまでの試聴では、47LaboのピットレーサーやDACまで持ち出していたのだから、クロック交換やクライオ処理した程度のCDプレーヤーで気に入る筈も無く、今度はこっちが悩む事となってしまった。
ところが、待っていたかの様にSONYのCDP-X5000/DENTEC TUNEDを手放したいと言う人が現れたのである。
ASC会員ご用達のX5000を彼が気に入らない筈は無く、試聴数秒後に決まったのは良いけれど、今度はDACで悩む事となったのだ。
いくらなんでも、予算が既に最初の希望から2倍以上に膨れ上がっているのだから無理も無い。
しかし、ここで有る筈も無い物が出て来るのだ。
それは、何とYAL YFD18 18BIT保障DACなのである。
弊社が発売元となり、二十数台しか世に出ていない150万円もする世界最高のDACを、都合により手放したいと言う人が出て来たのだ。
しかし、予算を遥かに超えているのに、大丈夫なのだろうか?
人の心配を他所に、音を聴いてしまった彼は半分ヤケクソで買ってしまったのである。
それからは、どうにかしてコストを押さえ様と悪あがきをするのだが、ケーブルにしろ電源にしろALTEC820Aは手を抜く事を断固拒否した。
高能率と言う事は、如何に恐ろしいものであろうか!
人間の価値観には色々有るのだ、聴いてしまったものは仕方が無いではないかと言わんばかりに、何と彼はリフォームのコストを下げてしまったのである。
彼が妻帯者であれば、家族の反対をくらい絶対に実行出来なかったであろうが、家は又建てられるけど、今回の装置はこれを逃がしたら一生巡り合えないだろうと言う、彼の言葉がいつまでも印象に残った。
藤 本
Y様からのコメント
毎度お世話になります。ネットワークですが、現在Highは-2dbの位置で繋いでいます。-4dbでは高音不足気味でした。エージング後にまた試してみようと思っています。
前のネットワークは、作動していない鉄の箱をエンクロージャーに貼り付けておくのもなんなんで、撤去して保管しています。
さて、取り付け後の印象ですが、解像度の向上により、左右、前後の音場がより広く、深く再現されるようになりました。それ加え、音圧が上がったのでしょうか?音の密度や質量感はこれまでにないほど肌身に(笑)感じます。直接音をチェックするのにスピーカーに近づくとまさに全身が音につつまれている感じがします。これらの変化により、ライブ感は桁違いに向上しました。
今後、エージングによって音質がエレガントに向上する(以前スーパークライオのブレークインの瞬間を体験しているので容易に想像できます)と、楽器の音もよりリアルに美しくなると思います。その段階で私が求める「音」はほぼ完成することでしょう。お陰様で随分近道をさせて頂きました。また、ビンテージオーディオが単なる懐古趣味で終わらないことを実感するチューニングとなりました。ありがとうございました。
レポートを頂いた当時の愛機
用 機 器 |
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