東京都 T様

T様とのお付き合いはスピーカーの再着磁から始まった。

有名店で極上のビンテージ製品を揃えられたが音質に不満があり、クリニックを承ったのだ。
寺岡さんのリスニングルームは、本業であるスタジオの中にあり、音響的には何の問題もない。
JBL PARAGON MCINTOSH MC60 C11MARANTZ #7 の傷1つ無い極上品が鎮座していたが、肝心の音はとても人に聴かせられる様なものではなかった。

初期タイプのPARAGONは、フィクスドエッジのウーハー150-4Cを使っており、こんなに膨らんだだらしない低音ではないですよとスピーカーの裏をチェックしたところ、案の定、赤がアンプの+に繋がれており、全く論外の状態である。
最近の製品以外、JBLのユニットは逆位相であるが、これはWEの特許に引っ掛からない為の苦肉の策であり、決して音質の為ではない。
関東の有名店では、何でこんな初歩的なミスを平気で行うんだろうか?なんて事を話しながら、黒を+に繋ぎ代えた。
これで音場はちゃんと出る様にはなったが、購入後数年経ってやっとスタートラインへ立っただけである。
極上品・・・それは外観だけで、肝心の音はポンコツだった・・・
暫く音が出ませんが我慢してくださいとPARAGONを分解し、ユニットを持ち帰った。

一ヵ月後、組付けを完了したPARAGONが本来の音を取り戻したのは言うまでもない。
ホーン形特有の締まった低音に分厚い中音、初期タイプ(16Ω)075の質感が如何なく発揮され、やっと音楽が楽しめる様になった。
寺岡さん曰く、何と遠回りしたんだろう・・・

その後IPT1500、IPT3000と電源の強化を行われ、最後にダメ押しのVEB10-5を導入された寺岡さん。
これの効果は物凄いですね!とご機嫌だった。

私は声を大きくして言いたい。
ビンテージ製品をご愛用の皆様!当時は振動対策など考えてなかったのです!
それらが開発された当初は、電源ノイズも少なく対策の必要すらなかったのです!
今だから再現できる銘機の音をお楽しみ戴きたい!
心の糧を提供する為に、日本全国どこでも伺います!

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