パワーアンプの改造

2004/9/6

最近LC-audioからデジタルアンプ プレデターが発売された。

早速3台サンプルを輸入して試聴しているが、これが私が今までに聴いたディジタルアンプとは全く次元が違うのだ。
特筆すべきは、超低域から超高域まで周波数による時間のズレが全く感じられない事だろう。
これはディジタルである以上は当たり前のことなのだが、今までのディジタルアンプでは必ず何らかの違和感を伴っていた。
しかし、プレデターからはそんな違和感は全く感じられない。
それどころか、トランジスターなら純A級 真空管なら直熱3極管アンプの様に歪が耳に付かない音質でありながら、事もなげに位相ズレ(時間のズレ)を発生しないのだから、全く凄いとしか言い様がないのである。
内部を見てみると、基板はクレジットカードと同サイズで目立つのは超高域をカットするチョークコイルくらいだ。
電源も全然大した事はないのに、こんな音がいとも簡単に出てしまうとは、正にディジタルの恐ろしさと言えるだろう。

電源をシッカリしたらまだまだ良くなるのは間違いない。
そう考えて、早速基板のみを20台輸入しスーパークライオ処理に出した。

さあどう料理するかだが・・・・

棚に目をやると、埃だらけのアキュフェーズP300Vが有るではないか。
このアンプは只者ではないのだ!1990年当時DENTECオリジナルのMOS-FET DCアンプへ改造したもので、配線材は全て銀線プリント基板のパターンに銀線を裏打ちまでしており、ハイエンドアンプを蹴散らす音質だった。

だったと言うのは、キャンタイプのMOS-FETが手に入らなくなったから止む無く製造中止したのだが、今でも30台くらいは日本中で元気に鳴っている筈なのだ。

ようし、これを最新ディジタルアンプに改造する事にしよう。

分解が30分程度で終り基板の位置決めをするが、熱が出ないので放熱器に取り付ける必要はない。
しかし、鉄板のシャーシーへ取り付けるよりはアルミの方が良いだろうと言う事で、配線しやすい様に放熱器の上方へ取り付ける事にした。


2004/10/28

いよいよ配線作業だ。

もともとこのアンプの配線は銀線だったのだが、当時は48時間もアニール処理した物を使っていた。

しかし、数量の確保が難しく、この様にアンプの内部配線だけに使い、入り口から出口まで機器内部の配線を銀線化されたお客様のみに、ラインケーブルやスピーカーケーブルを作って提供していた。

しかし、今はスーパークライオ処理によって数段音質の良い銀線を供給できる様になったので、ラインケーブルやスピーカーケーブルを製品化する事が出来る様になったのだ。
今回のP300Vには当然SC処理された銀単線を使ったのは言うまでも無い。

他の話が長くなってしまったが、このディジタルアンプ基板は±25Vから±70Vまでの電源に対応するので、いままで市販されてきた殆どのトランジスターアンプに対応できる。

つまり、Aクラス動作の小出力アンプからABクラスの200W級までを最新のディジタルアンプへ変身させる事ができるという優れものなのだ。

P300Vの改造は半日程度で仕上がり、ASCの定例会でメンバーにお披露目する事になった。

試聴はLC-Audioのオリジナルアンプ プレデターのノーマル機と出力回路のチョークコイルを銀線化したチューニング機、それに今回のアキュフェーズP300V改造機(勿論コイルは銀線だ)の3台で行った。

結果を端的に説明すると、やはりディジタルアンプと言えども電源によって音質が大きく左右され、高周波ノイズをカットするフィルターによってもかなり大きく音質が変化する事が解った。

つまり、アナログハイエンドアンプを凌ぐ音質を得ようとすると、瞬間的な電流供給能力と高品質な高周波用チョークコイルが必要不可欠なのである。

ところで、最近話題になっている各社のディジタルアンプは、果たしてその辺のところをクリアーしているのだろうか?

私が見たところ、電源はパルス電源の様だし、トロイダルコアーへ細い線を巻いてあるのが高周波カット用のチョークコイルだとしか思えないのだが……

いずれにしても、近い将来ディジタルアンプがハイエンドオーディオで持て囃される様になるのは間違いないだろう。

安く良い音を提供できる様になるのは良い事なのだから。

■終わり■

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