2015/2/12
CAT(CryoAudioTechnology)という社名をご存知の方は多いのではないだろうか?
日本で最初にオーディオ用クライオ処理を始め、SC処理ブレーカーやコンセント等が全国の代理店50数社に好評だった。
サウンドデンも広島の代理店であったが、代表者の死去により残念ながら2013年で営業を停止したままである。
在庫が少なくなったヒューズやコンセントを買いに来られる方も多く、未だに根強い人気が有るのに本当に残念だ。
さてこのCATだが、実は私はこの会社を立ち上げたメンバーの一人なのだ。
単にクライオ処理とは言っても、単に液体窒素で冷やせば良いというものでは無い。
ガス雰囲気法というコンピューター制御で正確な処理を行わなければ、逆に悪くなる事もある。
現に他社でクライオ処理された物と同じコンセントをCATで処理した事があり、余りの音の差に「歪が増えたのを情報が増えたと勘違いしているのではないか?」とさえ思えた。
これは儲かると思ったら物真似が横行するのはこの業界の常だが、余りにも酷いと呆れてしまう。
オーディオ機器のクライオ処理には急激な温度変化は禁物で、厳密な指定カーブでユックリ温度を下げ、またユックリ常温に戻さなければならず、現在のSC処理では仕上がるのに丸48時間も掛かるのだ。
CATがSC処理のカーブを決定するまでに数か月掛かったのも、同一製品の処理と試聴を幾度となく繰り返したからに他ならず、私が確認音源で厳密に判断したから完成したと言っても過言ではない。
金型等の処理工場で音も聴かずに処理された物など、全くお話にならないのである。
2015/2/13
何故今更SC処理の事を書く気になったのか?
実は、どうしても処理したい物があったのだが従来の処理炉では入らず諦めていた。
それは励磁型38cmリニアフェーズ同軸ユニットMAXONIC DS701だ!
メーカーのカタログによると磁気回路に熱処理を行っているとの事
ならば、SC処理を行えば更に良くなる筈と言う事だ。
この度、協力工場に内寸600x600x1000mmという特注大型炉が導入されたため
DS701他を持ち込み、作業風景を公開させて頂く事にする。
写真だけではその大きさが解らないので、私が並んで撮ってみた。
処理後は常温に戻しても霜が大量に付着する為、乾かす為の大型温風乾燥機
液体窒素のタンク(デカイ!)
さて、寸法的には余裕だが、DS701は40kgもあるので深い所に入れるのは大変だ!
今回は銀線、ACF30A、ファインメットコアー、LN-PSU12、LN-PSU±15、X-PM7の基板と同時にお客様からの預かり品を処理する
処理スタート(これから48時間の旅に出る)
余分な窒素ガスを排出(まるで煙の様)
さてさて、DS701が戻って来るのが楽しみだ!!
2015/4/20
1週間後にDS701が戻ってきた。
外観上は全く変わらないが、SC処理の効果はフレーム 磁気回路 振動板 ボイスコイル ホーン 励磁コイルなど音質に影響する全てに作用しているはずだが、果たしてその音質は?
早速元通りエンクロージャーに組み付け、音出しを開始した・・・
予想を超え、聴き慣れたCDが全く別物に聴こえる。
先ず第一印象は、全帯域でエネルギーバランスが整いアタックが揃った。
「これは振動伝達スピードが上がった為だろう」
僅かに気になっていた中高音の癖が無くなり、近々行う積りだったネットワークの調整が必要無くなった。
私は物理的な問題を電気的に解決しようと思っていた訳だが、それは誤魔化しでしかなかったと痛感した。
物理的な問題は物理的にしか解決できないのだ!
そして、私はこの変化にWEのユニットに通じるものを感じたのである。
WEのユニットは誰もが認める素晴らしい音質だが、果たしてそれは材質だけの問題だろうか?
製造後80年近くが経ち、気温や経時変化によって物理的なストレスが取れたと考えれば現代のユニットでは真似の出来ない音質も納得出来る。
SC処理によって数十年という気の遠くなる様な時間をたった48時間(処理時間)に短縮できるなら、SC処理はオーディオのタイムマシーンと言えるだろう。
体積の大きなDS701では処理代が2本で300万円以上掛かり、一般常識ではとんでもないと考えられるに違いない。
しかし、80年という時間を買えるとしたら、果たして高いと言えるだろうか?
音楽ファンの中には、むしろ安いと思われる方も居られるのではないだろうか?
DS701の有無を言わせない音質向上に、私はお金で済むのならむしろ安いものだと思った。
気に入ったユニットをSC処理で異次元の音質に!
貴方もオーディオのタイムマシーンを体験してみませんか?