オーディオ機器が手作りされていた時代(1960年代まで)には、当然の様に管理されていた部品の方向性。
特に位相に対して大きく影響する信号経路のコンデンサーは、巻き終わりから巻き始めへ信号を流さなければなりません。
私は創業以来この事を訴え続けて参りましたが、入力機器→アンプ→スピーカー全ての聴感位相が揃ってこそ始めてその成果が得られる為、どれ1つとして管理されていない現状では多勢に無勢虚しい叫びに終わっています。
オーディオ機器は動作すればよい家電製品とは異なり
「機器に多用されているフイルムコンデンサーの方向管理を行わなければ実に恐ろしい事態が発生」
市販機器の大半で位相ズレが発生しており、音像や音色が正確に再現されません。
試しに同じ機器を効き比べしてみて下さい。
其々が異なる表現となる事をお解りになる筈です。
人間の耳は周波数特性や歪より位相ズレ(時間のズレ)に敏感で、貴方が「何か変」と感じる原因となっているのです。
この事をメーカーのエンジニア達が知らない訳はありません。
彼らが真空管アンプの時代を経験しているなら、自宅で使う物やアマチュアの時代には必ず方向管理を行っていた筈です。
例えば、自宅で再生する音質を気に入った知人に同じ音のアンプの製作を依頼されたなら、彼は必ず方向管理を行うでしょう。
もしくは方向管理の必要が無いコンデンサーを使うでしょう。
何故なら、異なる音質のアンプを作ったなら彼の沽券に関わるからです。
しかし、メーカーのエンジニアとして彼が作る物が1台ずつ音質が異なったとしても、彼の資質は問われません。
何故なら、業界全体がそれを無視しているからです。
方法が無いのではなく、手作業でならアルバイトでさえ出来る簡単な作業を無視する
私は、彼(この業界)には良心は無いのか?とさえ思ってしまいます。
お客様は「同じ機器なら同じ音がする」と信じて疑わず、大金を支払われるのだから・・・
私がこの事を教わったのは40年以上も前であり、松下電器を退職された音響エンジニアの猪木さんです。
当時真空管アンプ作りに没頭していた私は、彼が再生する音楽にショックを受けました。
同じ部品を使っても、私の作るアンプとは全く異なる音楽を奏でる原因は何なのか?
それは、「「部品の方向性管理」だと快く教えて下さったのです。
今でもその時の彼の優しい笑顔を忘れません。
以後、彼の教えを守って参りましたが、私も還暦を過ぎ次の世代に伝える責任が有ると考えここに道標を立てます。
小さくてもメーカーならば、他社に対する優位性を公表する冪ではないという意見も有りますが
今後もこの状態が続くなら、オーバーではありますが「「音楽という心の糧」が必要な人類への損失だと考えるからです。
また、是非一度機器の中を覗いてみられる事をお勧め致します。
ガレージメーカー以外の製造現場では、手作業による半田付は行われておらず
単に差し込んだだけの接点が多用されている事に気付かれる筈です。
「入力から出力までの接点を数えたら、数十になる事も稀ではない」
時間=コストと考える作る側には好都合であっても、使う側にとっては音質劣化を伴う不安定要素の何物でもありません。
これが超高級機あっても音質は普及機と大差ない原因の一つとなっています。
これらの接点を直結するだけで相当なグレードアップになる!素人でも解るこの理屈をご理解頂けると思います。
私を信じトータルでお任せ頂いた方には音楽家の方が多く、誰もが驚くほどの「生演奏に匹敵する」素晴らしい音楽再生を楽しまれています。
如何に高価なハイエンドと言えども現代のオーディオ機器は手作業で作られてはいません。
それをそのまま使う限り、不満をケーブルやアクセサリーで誤魔化すしかないのです。
いや、ハイエンドこそ高価な誤魔化しを行う市場が出来上がっていると言えるのかも知れません。
機器の組み合わせや高価なアクセサリーで出来る筈も無い 癖を癖でコントロールする事に貴重な時間とお金を使い
僅かな不満の解消に一喜一憂されているオーディオファンの何と多い事か…
機器内部にある問題は、何をやっても外部からコントロール出来る筈もありません。
本物とは程遠い、いつ迄経っても満足する事のない泥沼にはまり込み
そして、対には心の糧である音楽を聴く事すら諦めてしまうのです。
それが嫌なら、時代を逆戻りしてスピーカーと アンプは整備の行き届いたビンテージを使うべきでしょう。
しかし間違ってはいけません! それらは古いから良いのではなく
「手作業で作られ」当たり前の様に部品の方向管理を行ってあるからより良く聞こえるだけなのです。
更に私は酷い事を報告しなければなりません。
ディジタルリマスターと称し出て来るCDの何と酷い事か
全ての音が前面に出て空間表現はデタラメ これでは音楽にはなりません。
そんなリマスター盤よりも、BOX売り1枚200円程度のCDが余程感動を得られるなんて
正にPCで安直にリマスターする事の功罪ではないでしょうか?
演奏現場を多く体験し耳が良い筈のエンジニア達は、一体何を考えてリマスターしているのでしょう?
1番普及しているCDラジカセでどう聞こえるか?
つまり、どうすれば数が売れるかしか考えていないと思うのは私だけでは無い筈です。
ポップスならまだしも、クラシックやジャズの歴史的名盤に手を加えるなら、作曲家や演奏家そして指揮者が何を伝えたいのかを重視し、何より現場を再現する事が1番重要だと思うのです。
もっとも、全ての機器の位相が揃っていなければ生演奏に近い正確な再現は出来ないのだから
この様な音源が出来るのもハードメーカーの責任が大きいとも言えます。
私は20年前から生録を行っています。
ワンポイントステレオマイクでアンプを使わない演奏をダイレクトに収録しましたが、
「ミキサーを使わず現場の空気感まで記録出来ました」
演奏現場にお客様を招き、マイクの側で一緒に聴きながら感動を共有したのです。
しかし、販売店にとってこれは諸刃の剣である事に後で気付きました。
元の音を知っているお客様に対し「誤魔化しが効かなくなった」のです。
それまで誤魔化しを行って来た積りはありませんが、市販機器をそのまま販売したのでは
お互いに満足出来ない…
それを打開するには、全ての機器を手作業で位相管理するしか方法は有りませんでした。
しかし諸刃の剣に身を置きそれを続けて来た成果は大きく、今日のセーム革エッジや銀線ケーブル、超低ジッターマスタークロックそしてディジタルアンプへと繋がったのですから…
それらは手作業を要する為決して安くはありません。
しかし、超高級機でさえもねじ伏せてしまう実力を持っており
何よりも生演奏を聴いた時のあの感動が得られるのです。
オーディオはトータルでまとめなければ本来の実力を発揮しません。
部分的にDENTEC製品を使われても、その片鱗が見えるだけでむしろ他の悪さを露見してしまいます。
それを理解してもらう為には、何度もお客様宅へ足を運び、一つづつ実行していくしかなく
ここ十数年、毎月車で関東へ出張しているのはその為です。
しかし、誰もやらない気の遠くなる様な時間の消費も私は苦になりません。
何故なら、仕上がった時のこれだけ鳴ればもう十分だという
お客様の笑顔に支えられているからです。
貴方が本当に泥沼から脱却したいなら、オーディオ機器に個性を求めるのを止め
現場には無い付帯音を一つずつ取り除く努力をするべきです。
1番の近道は電気を使わない生演奏を聴く事
そして音の伝わり方や余韻に耳を傾け、それを再生装置であるオーディオで再現しようとすることです。
肝に命じて欲しいのは、決して再生する側が音を作ってはならない
そして、CDには自分を感動させてくれるだけの情報が入っていると信じる事です。
現に私の認めるオーディオマエストロ達は、日々自宅で生演奏の感動を得られ
心の糧を満喫されています。
私がその事を如何に言葉で伝えようとしても評論家には敵いません。
しかも売る側の人間が言う事など、今まで散々騙されてきた皆さんには尚更信用して頂けないでしょう。
しかし、冷静に考えて見て下さい。
もしそれが偽物だとしたら、他店と全く異なる営業体制を35年も続けられるでしょうか?
お客様の満足だけを考え、自分が納得行かない物は売らないというスタンス
それを頑なに守ってきたからこそ今日まで続けて来れたと思うのです。
私には現代の機器の音質が一台ずつ異なるという現状を無視する事が出来ません。
それらを販売し、愛すべき音楽ファンを泥沼に引き込む事など断じて出来ないのです。
市場に生演奏の現場を再現出来る物が無ければ作るしかありません。
素性が良くても、間違った作り方をしてあれば手直しするしかありません。
現時点で私がハッキリ言える事
「CDには生演奏に匹敵する情報が入っている」
今後どの様に機器が変化したとしても人間の感覚は変わりません
「歴史的名演奏を再現する上でCD以外のフォーマットは必要ない」
これをご理解戴いた上で、他のページへお進みください。
株式会社サウンドデン
代表取締役 藤本光男